思わず口からでた言葉はずっと走り続けていたせいか小さく、声が枯れていた。
僕の声が聞こえたか聞こえてないか分からないが、その少女は目の前にいる僕に気づくと
「今あなたと話をしている時間はないわ。分かったら、早く私から離れて! 」
と言ったら、聞き取れないが何かをつぶやき始めた。
彼女の気迫に押され、しぶしぶ彼女の前を通り過ぎた時、突風と共に後ろの方で物音がした。
急いで振り返ると、そこにはあの怪物が数体、手足などがバラバラになって倒れていた。
なぜここに?
どうして、バラバラに?
様々な疑問が浮かぶ中、僕はその急な出来事から救われて緊張の糸が切れたのか、その場に倒れてしまった……まぶたが重くなって、意識が遠のいていく中覚えているのは心地よい優しい風が吹いていたことだ……
+ + + + + +
あれからどのくらいたったのかわからないが気が付いたら、どこかの部屋のベッドに寝かされていた。
部屋のドアが開く。
「おっ、気が付いたかシオン。一日中寝てたんだからな。彼女がずっと看病してくれたんだぞ。おまえの知り合いか?」
と言うと、セブネルさんは視線を僕とは違う方向に向けた。
その先には森で会ったあの少女の姿があった。
あの夜に起きたことが頭をよぎる。
――町が燃えていたこと――怪物が現れたこと――森で彼女が現れて……いきなり怪物がバラバラになって――夢であって欲しかった事だが、今目の前にいる彼女が事実だということを証明している。
「怪物に襲われるところを助けてくれた人だよ」
と言って、僕は重たい体を起こしてベッドから出た。
まだ足が所々痛かったので近くのいすに腰掛ける。
セブネルさんと彼女も他のいすに座った。
「おまえが目を覚ましたから、彼女が俺たちに話したいことがあるそうだ。」
とセブネルさんが言うと彼女は話し始めた。
「今から話すことが信じられなくても黙って私の話を聞いてください。」
礼儀正しく、あの時怒鳴った面影など感じさせないほど優しく彼女は言った。
「私はティアラと言います。さっきあなたから聞いた年号からすると、今から四百年前の、西の国リアルデから時を移動して来ました。」
男二人は驚きの顔を見せながらも黙って話を聞き続けた。
「なぜ私が四百年もかけて、この地に訪れたのには訳があります。それは、私の国に訪れた有名な予言者ラオがこの先に起こる災い……昨夜出会った怪物を食い止めなければわが国は滅びるとおっしゃり、私はその災いと戦うためこの時代にきました。あの怪物を予言者ラオはダースと呼んでいます。でも、私だけの力ではどうにもなりません。だから私と一緒にダースと戦ってくれませんか?もちろん、この状態ではあなた達の国も滅びます。自分たちのためにも……私たちのためにも…一緒に立ち向かってくれませんか?」
ティアラの話を聞いて僕の知らない世界が四百年のリアルデにある……そして彼女の…ティアラの中にある、と思った。
でも考えてみたら、どうやってこの時代に来たのか。
どうしてティアラのような女の子がこんな危険な役目を背負わされたのか。
それを聞こうとした時、またあの日のような叫び声があがる……
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