急いで外に出た三人は走りながら話した。
「さっきの話は本当に信じていいのか?それが事実で、もし仮に俺たちが戦うとしたら、何を使って戦えばいい?クワを振り下ろしても、なんとも思わない怪物だぞ?」
セブネルさんの言葉を聞いたティアラは外にでる前に持ってきた布の袋から一本の剣を僕に一本の矛をセブネルさんにわたした。
「もしかしたらこの時代で魔法が使えないのではないかと思い持ってきましたが、使えることを確認できたのでこの武器をお渡しします。その武器は戦争時、東の国グーレンが使っていた物を回収した物です。そこにはめてある宝石が力を引き出す源らしいんですけど、私たちの国の中に扱える者は誰一人いませんでした。だけど同じ国の血族なら扱えるのではないでしょうか?。」
今更言うのもなんだが、僕たちは東の国の住人。
そしてここは東の国の最東端から二番目の町――コイラ。
走っている途中に通り過ぎていく街並みからすると、間違いないと思う。
「おいおい。同じって言われても……俺たちが知っている話では、たしか選ばれた人しかその能力は扱えないぞ。特にグラミティアが落ちたあとに、扱える人はいなくなった。それが武器なんて使ったこともない一般人に扱える物なのか?」
返答がくる前に目的地についた。
怪物…ダースは一匹。
「グラミティア……聞いた事が無い言葉ですね。それは後でじっくり聞きましょう。では私が魔法で倒すので、お二人は私が呪文を唱え終えるまで時間稼ぎをしてください。能力は無くてもその剣はクワより頑丈です。相手も痛みなしとはいかないでしょう。使い方は……実戦で。」
言い終わるとあの時のように何かをつぶやき始めた。
そうかティアラは四百年前のリアルデ出身だから魔法を唱えられるんだ。
目線をティアラからダースに移すと敵もこちらの姿に気づいたらしくこちらに向かってくる。
「時間稼ぎか。でもちょうど良い。なんか彼女の思い通りにされた感じがして気が進まないが今生き延びるにはこいつを信じるしかないらしい。」
セブネルさんは矛を握り直した。
僕も握り直す。
自分の命がかかっているこの剣が重く感じた。
「行くぞ、シオン!」
真っ先にセブネルさんが声を出しながら突っ込んでいく。
構えた矛の先を頭めがけて突き刺そうとするが、ダースの爪が矛をはじく。
セブネルさんは追撃をするためにバランスを建て直し、すかさず矛を振り下ろす。
叫び声と共にダースの右腕が真っ二つに切り落とされた。
その光景をじっと見詰めていた僕はこの隙を逃すまいと、あわててダースの胸を切る。
しかし傷が浅かったのか残った左腕を使い、僕を振り払った。
数メートル先の壁に叩きつけられた僕はもうろうとする意識の中、僕めがけて突進してくるダースをただただ眺めていた。
それを止めようと必死に矛を突き刺そうとするセブネルさんがいる。
しかしどれも致命傷にはならず、ダースのスピードが衰える事は無かった。
必死で逃げようと思っても体を動かそうにも動かない。
もう僕の体めがけて飛び込んでくる……せっかく親の反対を押し切って家出したのに、せっかくセブネルさんから農業の事いろいろ教えてもらったのに、せっかくティアラと出会ったのに…いろんな後悔が出ては消え、出ては消えていった。
そして死を覚悟したその時、目の前にいたダースが真っ赤な炎に包まれていた。
そして一瞬のうちにして灰となり消えた。
僕は今目の前に起こった出来事が信じられなかった。
生きている。ただそれだけの事だけど涙を流さずにはいられなかった。
二人の駆け寄る音が聞こえる。
「よかった。間に合って。」ティアラの声だ。
そうか、さっきの炎はティアラが出した魔法か。
僕はセブネルさんの差し出してくれた手に捕まり、悲鳴をあげる体に鞭打って周りの人たちへの歓声を聞きながら僕は宿屋へと向かった。
そして、すぐにベッドで横になるとすぐに寝てしまった。その眠りの中僕は夢を見ていた。
+ + + + + +
黒い軍団が僕を襲ってくる夢だった。
ダースとは違う敵……僕は何も出来ずにその黒に足元から染められていく。
頭まで染まる前に、微かで聞き取れなかったけど声がした。
そこで不思議な夢は終わった。
目を開けると前いたベッドに寝ている自分がいる。
額には大量の汗が出ていた。
さっきの夢は一体……窓を眺めるとあたりは暗かった。
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